電話対応の際、思わず口にしてしまう「えっと…」「あの…」という言葉。
多くの人が無意識のうちに使ってしまいますが、相手にとっては“話がまとまっていない”“自信がなさそう”といった印象を与えてしまうことがあります。特にビジネスシーンでは、短い一言が信頼感を左右するため、できるだけ避けたい口癖です。
この記事では、なぜ「えっと」「あの」が出てしまうのか、その原因と改善のための具体的な練習法を解説します。誰でも今日から実践できる方法で、スムーズに話す力を身につけましょう。
なぜ「えっと」「あの」が出てしまうのか?原因を知る
まずは、口癖の背景を理解することが大切です。「えっと」「あの」は、単なる癖ではなく、心理的・生理的な要因が重なって出てしまう言葉です。
1つ目の原因は緊張です。電話では相手の表情が見えないため、会話の間に不安を感じやすくなります。特に初対面の相手や目上の人との通話では、「失礼があってはいけない」という思いから焦りが生じ、無意識に「えっと…」と時間を稼ぐような言葉が出てしまいます。
2つ目は、思考と発話のズレです。話したい内容を頭の中で整理しながら言葉にする際、その一瞬の空白を埋めようとする習慣が「えっと」「あの」として現れます。つまり、頭が考えるスピードと口が動くスピードのギャップが原因です。
そして3つ目は、沈黙への恐れです。多くの人は、会話中に間ができることを「気まずい」と感じます。そのため、言葉が思い浮かぶまでの間を埋めようとして、つい「えっと」「あの」を挟んでしまうのです。
このように、話す技術というよりは「心理的な不安」や「癖の積み重ね」が主な原因といえます。
「えっと」をなくすための意識改革と準備
口癖を減らすためには、いきなり「言わないようにする」よりも、意識を変え、事前準備を整えることが効果的です。
まず意識したいのは、「沈黙を恐れない」ことです。数秒の間があっても、相手はそれほど気にしていません。むしろ、落ち着いて話す姿勢の方が信頼感を与えます。「沈黙=悪」と思い込まず、間を味方にする意識を持ちましょう。
次に、電話前のフレーズ準備です。
例えば、以下のような言葉を事前に決めておくことで、焦りを防ぐことができます。
- 「いつもお世話になっております。」
- 「○○株式会社の△△様でいらっしゃいますね。」
- 「本日は○○の件でお電話いたしました。」
こうした“決まり文句”を自分の中でテンプレート化しておくと、スムーズに会話を始められます。
また、電話をかける前にメモで内容を整理することも有効です。要点を箇条書きで書いておくと、話の順序が明確になり、「何を話そう」と迷う時間を減らせます。
特に「挨拶」「要件」「相手への確認」「締めの言葉」の流れを事前に想定しておくと、自然に会話のリズムが整います。
さらに、最初の一言を決めておくこともおすすめです。
たとえば、「本日はお時間をいただきありがとうございます」といった冒頭フレーズを定型化しておくと、心理的な緊張が和らぎ、言葉の詰まりを防ぎやすくなります。
実践!スムーズに話すためのトレーニング法
次に、日常の中で取り入れられる具体的な練習方法を紹介します。
「えっと」「あの」を減らすためには、意識とともに発話のトレーニングが欠かせません。
1. 録音して自分の話し方を客観的に確認する
自分では気づかない口癖も、録音するとよく分かります。1分程度のスピーチや電話対応を録音し、「えっと」「あの」が出るタイミングをチェックしてみましょう。癖の出やすい場面を知ることが、改善の第一歩です。
2. 「3秒思考・話す」練習
思いついたことをすぐ口にせず、3秒だけ間を取って話し始める練習です。
この間に言葉を整理できるため、自然にスムーズな会話になります。最初は意識的に難しく感じますが、続けるうちに「考えてから話す」習慣が身につきます。
3. 発声・滑舌のトレーニング
「えっと」が出る原因の一つに“口が動かない”こともあります。声を出す筋肉を鍛えることで、言葉の流れがスムーズになります。
たとえば、朝の準備時間に「外郎売(ういろううり)」や早口言葉を読むだけでも効果的です。声が安定すると、自然と間の取り方にも余裕が生まれます。
4. 想定会話のシミュレーション練習
上司や同僚とロールプレイを行い、実際の電話場面を想定して話す練習も有効です。練習の際は、「相手の質問にどう返すか」「話の切り返しをどうするか」などを意識しましょう。
繰り返すことで“話の型”ができ、実際の対応でも動揺しにくくなります。
電話対応で印象を高める“話し方のコツ”
「えっと」「あの」を減らすだけでなく、印象の良い話し方を意識することで、よりプロフェッショナルな対応ができます。
まず意識すべきは、結論を先に伝える話し方です。
「○○の件でお電話しました」「本日は□□の確認でございます」など、要点を最初に述べることで、相手は会話の方向性を理解しやすくなります。これは「ピラミッド話法」と呼ばれる基本的な構成で、ビジネスシーンで非常に効果的です。
次に、相手の名前を適度に入れることです。
「山田様、ありがとうございます」といった一言を加えるだけで、会話のテンポが自然になり、信頼関係が築きやすくなります。
また、声のトーンとスピードも印象を左右します。
早口になりすぎると焦っている印象を与え、遅すぎると間延びした印象になります。標準的な速度で、明るく落ち着いたトーンを意識しましょう。
声の大きさは相手が聞き取りやすい程度に保ち、語尾をはっきりと発音することがポイントです。
最後に、電話中は話すだけでなく聞く姿勢も大切です。
相手の反応を想定しながら、話の途中で区切りを入れることで、双方向のコミュニケーションが生まれます。相手の返答を促す間を取ることも、スムーズな会話の一部です。
まとめ
「えっと」「あの」を完全になくすことを目標にするのではなく、相手に伝わる話し方を意識することが大切です。
この言葉は、誰にでも出てしまう自然な現象ですが、原因を理解し、準備と練習を重ねることで確実に減らすことができます。
ポイントは次の3つです。
- 緊張や不安を減らすために、事前準備を整える
- 録音やロールプレイで客観的に自分の話し方を知る
- 「沈黙を恐れず」「結論を先に話す」意識を持つ
小さな意識の積み重ねが、電話対応の印象を大きく変えます。
日々の会話の中でトレーニングを続け、自信をもってスムーズに話せる自分を目指しましょう。


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