講師が教える!クレーム対応で“信頼を得る人”と“炎上させる人”の違い

クレーム対応

クレーム対応と聞くと、多くの人が「怖い」「できれば関わりたくない」と感じるのではないでしょうか。
お客様からの厳しい言葉や怒りの感情を受け止めるのは、精神的にも負担の大きい仕事です。
しかし、実はクレーム対応こそが「信頼を得る最大のチャンス」でもあります。

同じ内容のクレームでも、対応する人によって結果は大きく異なります。
誠実な対応でお客様から感謝される人もいれば、少しの言葉遣いが原因で炎上を招いてしまう人もいます。
その差を生み出すのは、「話し方」や「態度」といったテクニックだけではありません。
根本的には、“相手の心理を理解しようとする姿勢”に違いがあるのです。

本記事では、クレーム対応講師の立場から、現場で実際に多くの事例を見てきた経験をもとに、
信頼を得る人と炎上させる人の違いを心理・言葉・行動の3つの観点から解説します。

信頼を得る人は「相手の感情」を、炎上させる人は「自分の正しさ」を優先する

クレーム対応で最初に理解しておくべきことは、「お客様は怒りたいわけではない」という点です。
怒りの奥には、「分かってほしい」「改善してほしい」という期待が隠れています。
つまり、クレームは“敵意”ではなく“要望”なのです。

炎上する人の特徴

炎上を招く対応者は、相手の感情よりも「自分の正しさ」を優先してしまう傾向があります。
たとえば、

  • 「それはお客様の勘違いです」
  • 「うちの規定ではできません」
  • 「そういう決まりなので」
    といった言葉は、正論であっても相手にとっては“否定”として響きます。
    結果的に、相手は「話を聞いてもらえなかった」「見下された」と感じ、怒りが増幅します。

信頼を得る人の特徴

一方で、信頼を得る対応者は“感情の受け止め”を最優先します。
「ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません」とまず謝罪をし、
次に「おっしゃる通りでございます」と相手の立場を尊重します。
この“共感”が、相手の心を鎮める最初の一歩です。

心理学的に、人は「理解されている」と感じることで怒りが和らぐ傾向があります。
したがって、感情を受け止める姿勢が結果的に信頼へとつながるのです。

「言葉遣い」と「トーン」が信頼と炎上を分ける

クレーム対応において、言葉遣いと声のトーンは印象を大きく左右します。
同じ内容を伝えても、表現の仕方次第で相手の受け止め方はまったく異なります。

炎上を招く話し方

炎上する人の特徴は、防御的な言葉を使ってしまうことです。
たとえば、

  • 「ですが」「しかし」「ただ」などの逆接の接続詞を多用する
  • 「規則です」「マニュアル通りです」といった形式的な表現に頼る
  • 声のトーンが早口・高め・ぶっきらぼうになる

これらは相手の感情を刺激し、「言い訳をしている」と受け取られがちです。

信頼を得る話し方

信頼を得る人は、相手の立場を尊重する柔らかい表現を選びます。
たとえば、

  • 「おっしゃる通りでございます」
  • 「ご迷惑をおかけし、申し訳ございません」
  • 「確認のうえ、最善の対応を検討いたします」
    といった言葉は、相手の気持ちを受け止めつつ、誠意を伝える効果があります。

また、声のトーンは低めで、ゆっくり話すことを意識すると落ち着いた印象を与えます。
焦って早口になると、相手は「軽んじられている」と感じることがあるため注意が必要です。

さらに、語尾を柔らかくすることも効果的です。
「〜でございます」「〜いたします」などの丁寧語は、
相手への敬意を自然に表現できる言葉遣いです。

信頼を得る人は「再発防止」を語り、炎上させる人は「その場しのぎ」で終わる

クレーム対応で最も重要なのは、「一度の謝罪で終わらせないこと」です。
その場だけで感情を鎮めても、根本的な原因を解決しなければ、同じ問題が繰り返されます。

炎上する人の対応パターン

炎上する人は、場当たり的に対応を終わらせようとする傾向があります。
「とりあえず謝っておけばいい」「形だけ対応すれば大丈夫」と考えてしまうと、
後から「言っていたことと違う」と再燃するケースがあります。
これは、“誠意が感じられない”という印象を与える典型例です。

信頼を得る人の対応パターン

一方、信頼を得る人は「改善」と「報告」を徹底します。
「今後、同様の事例が起きないよう社内で共有いたします」
「手続きの見直しを行い、再発防止に努めます」
といった言葉を添えることで、相手に安心感を与えます。

また、対応後のフォローも欠かしません。
「その後のご様子はいかがでしょうか」と連絡を入れるだけで、誠実さが伝わります。
クレーム対応の本質は“修復”ではなく“信頼回復”にあるといえるでしょう。

信頼を得る対応者が実践している3つのマインドセット

最後に、信頼される対応者が共通して持っている3つの考え方を紹介します。

①「怒りの裏には期待がある」と考える

クレームを“攻撃”と捉えるのではなく、“改善のチャンス”と受け止める姿勢が大切です。
怒っているお客様ほど、もともとはサービスに期待していた人です。
その期待を取り戻す気持ちで対応することで、関係性を再構築できます。

②「クレームは個人への攻撃ではなく、組織への要望」

多くの新人が「自分が責められている」と感じて動揺しますが、
お客様の怒りの矛先は個人ではなく、企業や仕組み全体に向いています。
冷静に受け止め、「お客様と同じ目線で問題を解決する姿勢」を示すことが重要です。

③「誠意はスピードと一貫性で伝わる」

いくら丁寧な言葉を使っても、対応が遅れたり内容が二転三転したりすると、
お客様は不信感を抱きます。
迅速に対応し、約束した内容を最後まで守ることが、信頼を得る最大のポイントです。

まとめ

クレーム対応で信頼を得る人と炎上させる人の違いは、知識や経験の差ではありません。
「相手の感情を理解しようとする姿勢」こそが、最大の違いです。

信頼を得る人は、相手の立場に立ち、共感を持って話を聞き、誠実な言葉と行動で対応します。
一方、炎上させる人は、自分の正しさやルールに固執し、結果的に相手の感情を無視してしまいます。

クレーム対応は、言葉のキャッチボールではなく、心のコミュニケーションです。
誠意ある姿勢を一貫して貫くことで、どんなクレームも“信頼を築く機会”へと変えることができます。
日々の対応の中で、この意識を大切にしながら取り組むことが、真に信頼される対応者への第一歩です。

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