クレームを信頼に変える電話マナー講師が実践する状況別対応例

電話

企業の窓口として電話対応を行う場面では、不満や怒りを抱えたお客さまと向き合わなければならないことがあります。その瞬間、「怖い」「どう対応すれば良いかわからない」と感じてしまう方は多いものです。しかし、クレームはただの苦情ではありません。実は、対応次第で企業への信頼を大きく高められる絶好のチャンスでもあります。

クレーム対応が苦手だと感じる方に向けて、本記事では電話マナー講師が現場で実践してきた「信頼につなげる対応法」を、状況ごとにわかりやすく解説いたします。今日から取り入れられる会話例を交えながら、好印象を残す対応術をお届けいたします。

■クレーム対応が信頼につながる理由

クレーム対応は、適切なコミュニケーションができるかどうかで相手の印象が180度変わる瞬間です。

●不満の裏には「期待」がある

クレームを言うということは、そもそもその企業に対して期待がある証拠です。「良くなってほしい」という思いが怒りや不安の形で表れています。

その期待を汲み取り、誠意を持って向き合えば、むしろ強い信頼関係を築くきっかけになります。

●迅速で丁寧な対応が顧客ロイヤルティ向上に直結

不備があった場合でも、迅速な対応と丁寧な説明ができれば、お客さまは「しっかりと対応してもらえた」と安心します。

悪い対応が直接的な離脱に繋がるのと同じように、良い対応は企業イメージの向上に繋がります。

●誠意を見せることで評価を逆転させられる

最初は怒りの感情が強くても、気持ちを丁寧に受け止め、解決に向けて行動すれば、「この会社なら今後も安心」とプラスの評価に転じます。

クレームは、信頼獲得の最大のチャンスであると言えるのです。

■電話マナー講師が実践する状況別対応例

ここでは実際の現場で使われる言い回しを状況ごとに紹介いたします。悪い例との比較も交え、わかりやすく解説いたします。

① 商品やサービスに対する不満

例:
「注文品が届かない」「期待していた品質と違う」など

悪い対応例:
「確認しますので少々お待ちください」(感情を無視)

改善例:
「不安な思いをさせてしまい、申し訳ございません。すぐに状況を確認し、本日中にご連絡いたします。」

ポイントは、共感の言葉→解決に向けた行動提示の順で伝えることです。

② 担当者の対応へのクレーム

例:
「前回の担当の態度が悪かった」「対応に誠意を感じない」

悪い対応例:
「そのようなことはないと思いますが…」(否定から入ってしまう)

改善例:
「ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。担当にかわりまして、責任を持って対応いたします。」

否定せず受け止め、お客さまに寄り添った姿勢を見せることが重要です。

③ 怒りが強く会話が進まないケース

相手が興奮し、こちらの言葉を遮る状態になることもあります。

悪い対応例:
「まず落ち着いてください」(指示は逆効果)

改善例:
「お気持ちをお聞かせいただきありがとうございます。状況を正しく把握したいので、順に確認させていただいてもよろしいでしょうか。」

まずは感情を受け止め、話の整理に導く工夫を行います。

④ 会社の非を強く責められる場面

例:
「そちらのミスで迷惑をかけられた」「責任者を出せ」

悪い対応例:
「担当部署に確認中で…」(曖昧な説明)

改善例:
「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。現在責任部署にて原因を確認しております。対応の目処が立ち次第、○時までに改めてご連絡いたします。」

クレーム場面において、曖昧な表現は不信感を増幅させます

  • 何が問題か
  • 現在どう動いているか
  • いつ対応が完了するのか

この3点を明確に伝えることが信頼回復の鍵となります。

■クレーム後のフォローが信頼回復の鍵

クレーム対応は「受け止めて終わり」ではありません。
その後のフォローこそが、信頼を確かなものにします。

●対応履歴を残し、再発防止につなげる

同じ問題が繰り返されないよう、対応内容や相手の状況を詳細に記録し、社内共有することで解決策の質が高まります。

●後追い連絡で安心感・誠意を示す

「問題が解決したことを改めて報告する」
たったそれだけで、お客さまは安心し、企業への信頼が強まります。

何もないまま時が過ぎることが最も不安を招くものです。

●組織全体でクレーム対応力を高める

  • 情報共有
  • 対応マニュアル改善
  • 社員教育

個々の苦労を組織の強みに変えることができます。

■まとめ:クレーム対応は「信頼を獲得するプロセス」

クレーム対応は、ただ謝罪するだけの業務ではありません。
誠意ある対応は、お客さまからの信頼を生む重要なコミュニケーションです。

最後に、本記事でお伝えしたポイントを振り返ります。

  • クレームは「期待の裏返し」
  • 落ち着いて感情を受け止めることで信頼につながる
  • 状況に応じた対応例を知っておくと安心
  • フォロー対応が評価を大きく左右する

電話対応は緊張を伴いやすい業務ですが、知識と経験を積み重ねることで確実に上達できます。
クレームを恐れず、「信頼を深めるチャンス」と捉えて取り組むことが、自身の成長と企業の発展につながります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました