電話対応は、会社の印象を大きく左右する大切な業務です。
メールやチャットが普及した現在でも、電話が必要な場面は多くあります。
急ぎの確認、取引先からの連絡、顧客からの問い合わせなどです。
特に総務担当者は、社内外から多くの電話を受ける立場です。
会社の代表窓口として対応する場面も少なくありません。
電話では、相手の表情が見えません。
そのため、声のトーン、言葉遣い、話すスピードで印象が決まります。
同じ内容を伝える場合でも、落ち着いた声で丁寧に話すのと、早口で事務的に話すのでは、相手の受け取り方が変わります。
丁寧な電話対応ができると、相手は安心します。
「この会社はきちんとしている」
「安心して相談できる」
「担当者につないでもらえそう」
このような印象につながります。
一方で、電話対応が雑だと会社全体の信頼を下げる原因になります。
取り次ぎが不正確だったり、伝言が漏れたりすると、相手に不信感を与えてしまいます。
総務担当者にとって電話マナーは、単なる作法ではありません。
会社の信頼を守るための実務スキルです。
この記事では、総務担当者が意識すべき電話マナーを解説します。
社外対応、社内対応、現場で使える具体例も紹介します。
1. 総務担当者が意識すべき電話マナーの基本
総務担当者が電話対応を行う際、まず大切なのは第一声です。
電話に出た瞬間の声の印象は、その後の会話全体に影響します。
明るく、はっきりした声で名乗ることが基本です。
たとえば、次のように対応します。
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇でございます」
声が小さいと、自信がない印象になります。
早口だと、相手が聞き取りにくくなります。
電話では、声が表情の代わりです。
普段より少し明るい声を意識すると、印象が良くなります。
電話はできるだけ早く出る
電話は、できるだけ3コール以内に出ることが望ましいです。
すぐに出られなかった場合は、最初に一言添えます。
「大変お待たせいたしました。株式会社〇〇でございます」
この一言があるだけで、相手への配慮が伝わります。
待たせたことに対する気遣いが、丁寧な印象につながります。
よく使う敬語を覚える
電話対応では、言葉遣いがとても重要です。
相手の顔が見えない分、言葉の印象が強く残ります。
よく使う表現は、次のように言い換えます。
- 了解しました → 承知いたしました
- すみません → 申し訳ございません
- わかりません → 確認いたします
- ちょっと待ってください → 少々お待ちいただけますでしょうか
- 伝えます → 申し伝えます
敬語をすべて完璧に覚える必要はありません。
まずは、電話でよく使う言葉を型として覚えることが大切です。
良い例/悪い例:基本対応の違い
悪い例
「はい、〇〇です」
「担当はいません」
「ちょっと待ってください」
「たぶん戻ると思います」
このような表現は、社内では通じるかもしれません。
しかし、社外の相手には雑な印象を与えることがあります。
良い例
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇でございます」
「申し訳ございません。〇〇はただいま席を外しております」
「恐れ入ります。少々お待ちいただけますでしょうか」
「確認のうえ、担当より折り返しご連絡いたします」
少し言い方を変えるだけで、丁寧で信頼感のある対応になります。
メモと復唱で伝達ミスを防ぐ
電話を受ける際は、必ずメモを取ります。
総務担当者は、複数の部署や担当者へ電話を取り次ぎます。
そのため、聞き間違いや伝達漏れがあると、業務に影響が出ます。
電話メモでは、次の項目を確認しましょう。
- 相手の会社名
- 氏名
- 電話番号
- 用件
- 担当者名
- 折り返しの必要性
- 希望する連絡時間
聞き取れなかった場合は、遠慮せず確認します。
「恐れ入りますが、もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「確認のため、復唱させていただきます」
聞き返すことは失礼ではありません。
正確に対応するための大切な行動です。
2. 社外から信頼される電話対応のポイント
社外からの電話では、会社の代表として対応している意識が必要です。
取引先、顧客、協力会社、採用応募者など、相手はさまざまです。
どの相手にも、落ち着いて丁寧に対応することが大切です。
用件を正確に把握する
社外対応では、相手の用件を正確に聞き取る必要があります。
最低限、次の4点は確認しましょう。
- 誰からの電話か
- 誰宛の電話か
- 何の用件か
- 折り返しが必要か
たとえば、取引先から次のような電話があったとします。
「株式会社Aの田中です。経理部の佐藤様はいらっしゃいますか」
この場合は、次のように対応します。
「株式会社Aの田中様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。佐藤におつなぎいたしますので、少々お待ちくださいませ」
社外の相手に対しては、社内の人に敬称をつけません。
「佐藤さん」ではなく、「佐藤」と伝えます。
不在時は曖昧に答えない
担当者が不在のときは、曖昧な回答を避けます。
「たぶん戻ると思います」
「いつ戻るかわかりません」
「忙しいみたいです」
このような表現は、相手に不安を与えます。
正確な情報がわからない場合は、無理に答える必要はありません。
「申し訳ございません。〇〇はただいま席を外しております。戻り次第、折り返しご連絡するよう申し伝えましょうか」
戻り時間が不明な場合は、次のように伝えます。
「恐れ入ります。現在、戻り時間が確認できておりません。よろしければ折り返しご連絡いたします」
わからないことを確認する姿勢が、信頼につながります。
内部事情を話しすぎない
社外対応では、会社の内部事情を不用意に話さないことも大切です。
たとえば、次のような言い方は避けたほうがよいでしょう。
- 会議が長引いています
- 今日はかなり忙しいようです
- まだ出社していません
- どこにいるかわかりません
相手に余計な印象を与える可能性があるためです。
基本的には、簡潔で丁寧な表現を使います。
「席を外しております」
「外出しております」
「ただいま別件対応中でございます」
「本日は終日不在でございます」
必要以上に説明しないことも、総務担当者に求められる判断です。
実務ケース:営業電話を受けた場合
総務では、営業電話を受けることもよくあります。
「代表者様はいらっしゃいますか」
「採用担当の方につないでください」
「電気料金の見直しの件です」
このような電話では、すぐに担当者へつなぐのではなく、まず用件を確認します。
「恐れ入りますが、どのようなご用件でしょうか」
「担当部署に確認いたしますので、会社名とお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
取り次ぐ必要がない場合は、社内ルールに沿って対応します。
「恐れ入りますが、営業のご案内はメールにてお願いしております」
感情的に断る必要はありません。
会社の窓口として、丁寧に線引きすることが大切です。
保留が長くなる場合は一度戻る
取り次ぎや確認で保留にする場合は、待たせる時間に注意します。
相手を長く待たせると、不安や不満につながります。
確認に時間がかかる場合は、一度電話に戻りましょう。
「お待たせして申し訳ございません。確認に少々お時間をいただいております」
さらに時間がかかる場合は、折り返しを提案します。
「確認にお時間をいただくため、折り返しご連絡してもよろしいでしょうか」
保留のまま放置しないことが大切です。
3. 社内対応で印象を良くする伝え方と取り次ぎ方
電話マナーは、社外対応だけに必要なものではありません。
総務担当者は、社内のさまざまな部署と連絡を取ります。
社内だからといって雑に対応すると、業務連携が悪くなります。
社内電話では要点から伝える
社内電話では、簡潔でわかりやすく伝えることが大切です。
最初に用件を伝えると、相手も内容を理解しやすくなります。
たとえば、次のように話します。
「〇〇の件で確認がございます」
「〇〇部の田中様からお電話がありました」
「請求書の件で、折り返しのご希望がございます」
先に目的を伝えることで、話がスムーズに進みます。
取り次ぎでは用件を一言添える
取り次ぎをする際は、ただ電話を回すだけでは不十分です。
相手の用件を簡単に共有すると、担当者が対応しやすくなります。
「株式会社Aの田中様より、請求書の件でお電話です」
「〇〇サービスの山本様より、契約更新の件でご連絡です」
「採用応募者の佐々木様より、面接日程の確認でお電話です」
この一言があるだけで、担当者は話の内容を把握できます。
電話をかけた相手も、同じ説明を繰り返さずに済みます。
実務ケース:採用応募者から電話が来た場合
総務が採用窓口を兼ねる会社では、応募者から電話を受けることがあります。
「面接時間を変更したいのですが」
「持ち物を確認したいです」
「採用担当の方はいらっしゃいますか」
応募者は、会社に対して緊張していることもあります。
事務的すぎる対応は避け、丁寧に案内しましょう。
「お問い合わせありがとうございます。採用担当に確認いたしますので、少々お待ちくださいませ」
担当者が不在の場合は、次のように伝えます。
「申し訳ございません。採用担当はただいま席を外しております。確認のうえ、折り返しご連絡いたします」
応募者への対応は、会社の印象に直結します。
入社前の相手にも、丁寧な対応を心がけることが大切です。
社内依頼は言い方に注意する
総務は、社内の人へ依頼する機会が多い部署です。
備品管理、書類確認、来客対応、社内手続きなど、連絡内容はさまざまです。
このとき、一方的な伝え方にならないよう注意します。
悪い例
「この書類、今日中に出してください」
「まだ確認できていません」
「早く対応してください」
このような言い方は、相手に圧を与えることがあります。
良い例
「お手数ですが、本日中にご提出いただけますでしょうか」
「恐れ入ります。確認状況をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「お忙しいところ恐縮ですが、〇日までにご対応いただけますと幸いです」
同じ依頼でも、言い方によって印象は変わります。
総務は社内調整が多いからこそ、丁寧な伝え方が重要です。
4. 総務担当者が電話対応で信頼を高めるコツ
電話マナーは、基本を知るだけでは身につきません。
日々の対応の中で、相手に安心感を与える行動を積み重ねることが大切です。
対応履歴を残す
総務では、同じ相手から複数回連絡が来ることがあります。
そのため、必要に応じて対応履歴を残しておくと安心です。
- いつ電話があったか
- 誰からの連絡か
- どの担当者へ共有したか
- 折り返し済みか
- 未対応の内容が残っていないか
対応履歴があれば、担当者不在時でも状況を把握しやすくなります。
伝言漏れや二重対応も防げます。
急ぎの電話は優先度を確認する
電話では、相手が「急ぎです」と伝えることがあります。
その場合は、慌てず内容を整理します。
「本日中のご回答をご希望でしょうか」
「担当者へ至急共有いたします」
「差し支えなければ、急ぎの内容を簡単にお伺いしてもよろしいでしょうか」
急ぎの電話ほど、正確な伝達が重要です。
慌てるのではなく、必要な情報を確認してから担当者へ共有します。
困った電話は一人で抱え込まない
総務では、判断に迷う電話を受けることもあります。
たとえば、次のような電話です。
- クレームに近い問い合わせ
- 営業電話の取り次ぎ判断
- 契約や請求に関する確認
- 担当者不在時の緊急連絡
このような場合は、一人で抱え込まないことが大切です。
「確認のうえ、担当よりご連絡いたします」
「社内で確認いたしますので、少々お時間をいただけますでしょうか」
その場で無理に答えるより、確認して対応するほうが安全です。
判断に迷ったときの社内ルールを決めておくと、対応が安定します。
まとめ:丁寧な電話マナーが社内外からの信頼につながる
総務担当者にとって、電話対応は日常的な業務です。
しかし、その一件一件が会社の印象を左右します。
電話は声だけでやり取りするため、表情や態度が見えません。
その分、声のトーン、言葉遣い、聞く姿勢、取り次ぎの正確さが重要です。
社外からの電話では、会社の代表として対応する意識が必要です。
相手の用件を正確に聞き取り、担当者へ確実につなぐことが大切です。
不在時には、曖昧な返答を避けます。
折り返しの有無や連絡先を確認します。
内部事情を不用意に話さない配慮も必要です。
社内対応でも、電話マナーは欠かせません。
社内だからといって気を抜かず、要点を整理して伝えることが大切です。
総務担当者が今日から取るべき行動は、次の3点です。
- 電話メモの項目を統一し、伝達漏れを防ぐ
- よく使う敬語フレーズを職場で共有する
- 困った電話を一人で抱え込まず、社内ルールで対応する
電話マナーは、特別な技術ではありません。
基本を丁寧に積み重ねることで、自然と身についていきます。
総務担当者の電話対応は、会社の窓口です。
そして、社内外をつなぐ大切な役割でもあります。
日々の電話対応を一つひとつ丁寧に行うことで、相手に安心感を与えられます。
その積み重ねが、社内外から信頼される総務担当者への第一歩です。

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